近年では、日系の現地法人においても賃上げ等を要求するストライキが発生するなど外資系企業の労働紛争が急増しています。
その一因として、「労働契約法」をはじめとする一連の労働関連法律法規の制定が、個々の労働者の権利意識を強化したことが挙げられます。
さらに、2008年5月1日に施行された「労働紛争調停仲裁法」及び関連規則により労働者に対する救済方法が整備されたことも労働者の権利意識に一層拍車をかけているようです。
現地法人を有する日本企業としては、中国の労働関連法律法規を正しく把握し、できる限り労働紛争が発生しないよう各種の手段を検討する必要があります。
また、労働紛争が発生した場合には、協議→労働調停・仲裁→訴訟といった紛争解決のプロセスに対する理解も不可欠です。
当事務所では、以下のように労働紛争の全ての過程において、労働紛争の解決に向けたサポートを行うことができます。
協議による解決
労働紛争が発生した場合、まずは、当事者間で協議を行うことになります。
当事務所では、労働紛争の実情に応じて必要なサポートをいたします。
場合によっては、当事務所に所属する中国弁護士が従業員との協議の場に同席して、協議の現場で必要なサポートをすることもできます。
調停組織による調停
協議による解決ができない場合、当事者は、調停組織による調停を申し立てることができます。
調停組織には、
- 各企業の中に設置される企業労働紛争調停委員会
- 人民調停組織として設置された調停組織
- 郷鎮・街道レベルで設置された労働紛争調停組織
があります。
調停による合意ができない場合、仲裁の申立てを行うことになります。
労働紛争仲裁委員会による仲裁
管轄する労働紛争仲裁委員会に仲裁を申し立てる方法です。
上記の協議及び調停を省略して、この仲裁手続から開始することもできます。
仲裁は、通常3名の仲裁人で行われます。労働紛争仲裁では、当事者双方が基本的な主張及び証拠を提出した上で、仲裁廷で仲裁人が和解を勧め、和解が成立しなかった場合には裁決が出されます。
労働紛争仲裁においても、民事訴訟と同様、当事者が証拠の提出及び主張を行うことになりますから、効果的な主張・立証のためには、弁護士によるサポートが不可欠です。
当事務所では、経験豊富な現地法律事務所の弁護士と共同して、中国での労働紛争仲裁手続をサポートすることができます。
人民法院による訴訟
仲裁判断を不服とする場合、当事者は、原則として、仲裁判断を受け取った日から15日以内に人民法院に訴訟を提起することができます。
上記労働紛争仲裁を省略して訴訟を提起することはできません。
当事務所では、労働紛争が訴訟に発展してしまった場合も、経験豊富な現地法事務所の弁護士と共同して、中国での訴訟手続につき必要なサポートを提供することができます。